2025-2026
召喚装置、あるいは(不在の在)
本作はFMラジオを用い、声が空間に潜在し、特定の条件が重なったときに現前する過程を扱うインスタレーションである。送信機から放たれた電波は空間を漂い、干渉し合いながら存在し、受信機と出会うことで音として立ち上がる。
ここで鳴る声は、意図的な再生操作の結果ではなく、作家の設計と空間的条件が結びつくことで、関係として立ち上がる。本作は、身体から切り離された声の亡霊性と、不在のまま作用し続ける声を、フェミニズムやケアの視点から捉え直す試みである。
複数の受信点と送信点が空間内で緩やかに結びつき、聴取者は移動しながら、あるいは立ち止まりながら、声の出現条件そのものに触れることになる。ラジオは情報伝達の手段ではなく、関係生成の装置として再定義される。
不在でありながら作用しつづける声、聴かれることで立ち上がる気配、そして受信という出来事の偶発性を、展示空間のなかで具体的な経験として構成した作品である。
- Year
- 2025-2026
- Format
- ラジオ・アート/インスタレーション
- Materials
- FM transmitter, radio receiver, speaker, recorded voice, installation structure
- Keywords
- radio, voice, haunting, care, listening